創作小説プチフール

月ノ羽衣
月ノ羽衣による創作小説マガジン。長編ファンタジー『エバグリーン』の他、先行公開の短編・中編もどうぞ。
Created 24 Jul 2021
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  • エバグリーン【12】
    17 Oct 2021
     僕たちは川をのぼってみることにした。のぼったほうが水がより澄んでいると思ったのだ。たまにミスティの名前を呼びかけたりしつつ、さらさらと流れていく小川の上流を目指していく。川ではたまに魚が跳ねたり、小動物が水を飲んだりしていて、わりと平和だった。しかし、不意にベルを鳴らすみたいな高音の笑い声が聞こえたので、魔物かと僕たちはとっさに構える。ぱしゃっという水を蹴散らかす音がして、「わっ、濡れちゃったわ...
  • エバグリーン【11】
    10 Oct 2021
     しゅんとするふたりに、僕たちは顔を見交わした。「あなたたち、この森の中には詳しいの?」とフェザーが腕を組むと、「詳しいのは、僕たちよりリーフくんだよね」と少年が言って、「リーフくんはこの森で弓取りの狩人をやってるから」と少女もこくんとする。 「その──リーフくんに協力してもらえば、この森って迷わず抜けられる?」 「もちろん! リーフくんの案内なら確かだよ」 「じゃあ、えーと──ミストとヘイズ? ...
  • エバグリーン【10】
    03 Oct 2021
     森に入ってしばらくは、柔らかい地面に足音も吸いこまれ、森林の葉擦れ以外は静かだった。しかしやがて、駆けまわる足音やかすかな笑い声、切り裂くような鳴き声が聞こえてくるようになる。すでに翠蓋で陽射しは遮断されて暗く、うっすら霧が発生した空気はひんやりしている。「突然来るからね」とフェザーも表情を警戒したものにさせながら言った。 「コツは敵と向かい合うこと。逃げようと背中見せるだけ不利」  僕は昨日の...
  • エバグリーン【9】
    26 Sep 2021
     僕の言葉にフェザーはうなずき、「この村の北西に森があるよね」と言った。僕とアースがいつも武術を切磋琢磨していた平地につながる森だろう。 「その森を抜けた先に、いくつか村や集落があって、その中にあのときの妊婦とその家族がいるって聞いた。その仲間は、どうやら森に入ってこの村に逃げこむことはなく、過ごしてるみたい」 「そう、なんだ……」 「とりあえず、三人での実践兼ねながら、森に入りましょ。準備はいい...
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